[ファンタジー] 空想少女 さと(著) ①
空を飛んだり、魔法を使ったり、動物になったりする
不思議な世界を生きる普通の女の子のオムニバス作品。
『恋愛地下闘技場』
恋愛、趣味、部活。
女子高生は毎日忙しい。
だから、どれもソコソコにしておくのが賢い生き方。
気になる異性は、通学電車の中で密かに眺めているだけにする。
気軽に楽しむのが一番だ。
高校2年生の市原 かずさ(いちはら かずさ)は
決して恋の落とし穴に落ちたりなどしないのだ。
すると突如、足元に大きな穴がポッカリと開き
市原は吸い込まれるように穴の中に落ちていった。
電車の中にいたはずの市原の前には格闘技のリング。
(なんてこった)
市原は、〝市川塩浜秀作〟争奪戦にエントリーされてしまった。
ここは恋愛地下闘技場。
同じ男に惚れた女同士がルール無用の闘いをして
勝利したものだけが彼と付き合う権利を獲得することができる。
市原の目の前でいきなり始まった闘い。
拳と拳のぶつかりあいで、歯が飛び、血が流れる。
市原は即座に棄権したのだが――。
『魔法少女?プリプリピンク』
百田 桃子(ももた ももこ)は子供の頃
魔法少女になりたいと願っていた女の子のひとり。
おもちゃの杖で唱える魔法の言葉で空想の世界に浸っていた。
だが、それも遠い昔の話。
現在の百田は主婦業に専念して忙しい毎日を送っていた。
そして、これからも変わらない毎日を過ごすはずだった。
まさか主婦の百田が魔法少女?になるなんて思いもしなかったのだ。
炊飯器に急に宿った精により魔法少女?に変えられてしまった百田。
きわどい衣装に乗るお腹。
恥ずかしさをこらえて戦う中でも、主婦業は疎かにはできない。
地球よりも我が子の笑顔を守りたい。
百田の大変な二束のわらじ生活――。
『がんばれ!超能力者』
彼女の名前は瀬良 百合(せら ゆり)、高校1年生。
どこにでもいる女の子のように見えますが
実は超能力使えます。
手を使わずに物が動かせる能力。
今までは親戚が集まったときに見世物として使う程度だったが
この能力で人を救わねばならない時がきてしまった。
電車内、スカートの裾をパンツに巻き込んだまま
気付かずに寝てるドジな女の子を助けるために。
手ごわいパンツのゴムに阻まれて
頑固に巻き込んだままのスカート。
できればこの超能力を使いたくはないのだ。
なぜならこの超能力には副作用がある。
使いすぎると瀬良の着ている服が縮んでいくのだ。
あの娘のパンツを隠すのが先か。
瀬良のパンツが飛び出すのが先か。
ギリギリの戦いが幕を開け
戦いは思いの寄らない方向へと進んでいった――。
いろいろな種類の話が詰まっており、お得感この上ない。
1つ1つの話の完成度が高く、単発で終わってしまうことに
勿体なさすら感じます。
どの話も、他ではあまり味わうことのできない独創性に満ちています。
絵柄での可愛さもさることながら
一生懸命に何かに取り組んだり
気持ちを秘めたりする、行動面での女の子の可愛さもひとしお。
『がんばれ!超能力者』に出てくるパンモロ女子の
パンツの柄にはかなり楽しませてもらいました。
まさか後ろのダイオウイカが、前ではあんな姿にされてしまっていたとは。
その柄をお披露目するタイミングも面白かったです。
ナンバリングがあるからには2巻も出ることでしょう。
1巻で出た女の子の続編のようなものにも期待したいです。
漫画のナンバリングって怖いですよね。
私の持っている漫画の中には、ナンバリングがあるのに
2巻がいつまで経っても発売されないものがあります。
気になって調べてみると打ち切りになってたりして
悲しい気持ちに苛まれることが度々起こる。
ナンバリングを付けたからには
最後まで続けて欲しい気持ちはあります。
出版社も営利企業ですから、仕方ないと思う気持ちもあります。
だが、一度打ち切りを決定してしまっては
その漫画の続きを読むことは絶望的になってしまう。
私の中で、いつまで経っても完結しない物語が生まれてしまう。
打ち切られたら再開することはない。
死んだら蘇ることはない。
それが現実。
漫画の世界ならば幽霊となって現れることもあるのだろうが。
幽霊となって現れた兄と女子高生が
巻き起こる事件の謎に挑んでいく。
次回はそういう作品をご紹介。
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