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[ファンタジー] 空想少女 さと(著) ①

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空を飛んだり、魔法を使ったり、動物になったりする
不思議な世界を生きる普通の女の子のオムニバス作品。

『恋愛地下闘技場』
恋愛、趣味、部活。
女子高生は毎日忙しい。
だから、どれもソコソコにしておくのが賢い生き方。
気になる異性は、通学電車の中で密かに眺めているだけにする。
気軽に楽しむのが一番だ。

高校2年生の市原 かずさ(いちはら かずさ)は
決して恋の落とし穴に落ちたりなどしないのだ。

すると突如、足元に大きな穴がポッカリと開き
市原は吸い込まれるように穴の中に落ちていった。
電車の中にいたはずの市原の前には格闘技のリング。
(なんてこった)
市原は、〝市川塩浜秀作〟争奪戦にエントリーされてしまった。

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ここは恋愛地下闘技場。
同じ男に惚れた女同士がルール無用の闘いをして
勝利したものだけが彼と付き合う権利を獲得することができる。
市原の目の前でいきなり始まった闘い。
拳と拳のぶつかりあいで、歯が飛び、血が流れる。
市原は即座に棄権したのだが――。

『魔法少女?プリプリピンク』
百田 桃子(ももた ももこ)は子供の頃
魔法少女になりたいと願っていた女の子のひとり。
おもちゃの杖で唱える魔法の言葉で空想の世界に浸っていた。

だが、それも遠い昔の話。
現在の百田は主婦業に専念して忙しい毎日を送っていた。
そして、これからも変わらない毎日を過ごすはずだった。

まさか主婦の百田が魔法少女?になるなんて思いもしなかったのだ。
炊飯器に急に宿った精により魔法少女?に変えられてしまった百田。
きわどい衣装に乗るお腹。

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恥ずかしさをこらえて戦う中でも、主婦業は疎かにはできない。
地球よりも我が子の笑顔を守りたい。
百田の大変な二束のわらじ生活――。

『がんばれ!超能力者』
彼女の名前は瀬良 百合(せら ゆり)、高校1年生。
どこにでもいる女の子のように見えますが
実は超能力使えます。

手を使わずに物が動かせる能力。
今までは親戚が集まったときに見世物として使う程度だったが
この能力で人を救わねばならない時がきてしまった。

電車内、スカートの裾をパンツに巻き込んだまま
気付かずに寝てるドジな女の子を助けるために。

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手ごわいパンツのゴムに阻まれて
頑固に巻き込んだままのスカート。

できればこの超能力を使いたくはないのだ。
なぜならこの超能力には副作用がある。
使いすぎると瀬良の着ている服が縮んでいくのだ。

あの娘のパンツを隠すのが先か。
瀬良のパンツが飛び出すのが先か。
ギリギリの戦いが幕を開け
戦いは思いの寄らない方向へと進んでいった――。


いろいろな種類の話が詰まっており、お得感この上ない。
1つ1つの話の完成度が高く、単発で終わってしまうことに
勿体なさすら感じます。
どの話も、他ではあまり味わうことのできない独創性に満ちています。

絵柄での可愛さもさることながら
一生懸命に何かに取り組んだり
気持ちを秘めたりする、行動面での女の子の可愛さもひとしお。

『がんばれ!超能力者』に出てくるパンモロ女子の
パンツの柄にはかなり楽しませてもらいました。
まさか後ろのダイオウイカが、前ではあんな姿にされてしまっていたとは。
その柄をお披露目するタイミングも面白かったです。

ナンバリングがあるからには2巻も出ることでしょう。
1巻で出た女の子の続編のようなものにも期待したいです。


漫画のナンバリングって怖いですよね。
私の持っている漫画の中には、ナンバリングがあるのに
2巻がいつまで経っても発売されないものがあります。

気になって調べてみると打ち切りになってたりして
悲しい気持ちに苛まれることが度々起こる。

ナンバリングを付けたからには
最後まで続けて欲しい気持ちはあります。
出版社も営利企業ですから、仕方ないと思う気持ちもあります。

だが、一度打ち切りを決定してしまっては
その漫画の続きを読むことは絶望的になってしまう。
私の中で、いつまで経っても完結しない物語が生まれてしまう。

打ち切られたら再開することはない。
死んだら蘇ることはない。
それが現実。

漫画の世界ならば幽霊となって現れることもあるのだろうが。

幽霊となって現れた兄と女子高生が
巻き起こる事件の謎に挑んでいく。
次回はそういう作品をご紹介。


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[短編集] 購買のプロキオン ふかさくえみ(著) 全1巻

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プロキオン。
それは〝こいぬ座〟の星のひとつ。
夜の空でしか見えない星。
そんな名前で呼ばれる1人の女子生徒がいた。

名前も学年もクラスも不明。
一部では幽霊説すら浮上するほどの女の子。
昼の購買でしか会うことができないらしい。

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あさぎは生徒会長になって早2ヶ月。
全生徒の名前と顔を覚えたと自負していたが
全く知らない子が購買で話題になっていたことに屈辱を隠せない。

あさぎは席替えで前後になったことで弁当を共にするようになった堅物な眼鏡女子・梅乃に
心中を明かし、まずは購買の常連客になると決意表明。
翌日からあさぎの購買通いが始まった。

まずは名前を聞き出す。
遠くから天使のような微笑みを放つ名も知らぬ彼女・プロキオンに近づいた。
「あ、あの」
しどろもどろに声をかける。
名前を聞くだけのことに身体は強張ってしまう。
「あ、生徒会長さんこんにちは」
生徒会長ゆえにプロキオンに名前を知られている。
あさぎは気恥ずかしさを覚えた。

「聞きましたよ会長さん。全生徒の名前と顔を覚えてらっしゃるんですね」
プロキオンに褒められて気をよくした あさぎ。
「ま、まぁな」と如何にも誇らしげ。
だが、名前を聞く事への難易度は劇的に上がってしまった。

その翌日、プロキオンは現れなかった。
お陰で購買でランチを買えずに、食いっぱぐれ。
梅乃は何故か機嫌が悪く、弁当を分けてもくれなかった。

生徒一覧を見てもプロキオンの姿はない。
写真とは見た目が変化している可能性はある。
体型、髪型、メイク。
プロキオンのことを思い出しながら、ひとつ気になる事を思い出した。
声。
声に聞き覚えがあったのだ。

「なにボケッとしてるんですか、会長さん」
思慮を張り巡らす あさぎを叱る梅乃の声。
この声――。

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この声、まさか同一人物か。
だとしたら、随分といい根性をしている。

偶然にも、コンビニから出てくるプロキオンを見かけた。
そして、あさぎはココぞとばかりに鎌をかけてみた。
「梅乃!」
ハッと振り向くプロキオン。
プロキオンの正体は梅乃だった。

「でも何でそんな格好…」
問い詰めようとする あさぎに
「…あなたに気づいてほしかったのは、もうひとりの方だったのに」
梅乃は意味深な言葉を発したのだった――。

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もちろんココで話は終わりません。
何故、梅乃が黙っていたのか。
何に気付いて欲しかったのかが語られています。
女の子の秘めたる想い、それに気が付くことは難しいけれども
とても大切なことですね。

少し不思議な女の子たちの出会いや友情。
憧れや尊敬など、人への様々な好意を描いた作品集です。

温かみのあるストーリーに、ほのぼのと可愛い画風で癒されます。
個性的な女の子たちが色々な出来事に真っ直ぐに向かっていく様子や
そのときどきの心理描写が分かりやすく描かれているのが魅力的です。

作者様の商業初コミックスです。
これからの活躍におおいに期待しております。


本当の自分を隠す。
そこには色々な理由があるものだ。

私の中で特に隠したいものと言えば変態性。
おっぱいの感触を楽しむ〝おっぱいグッズ〟を買って
自分の好きなキャラの抱き枕に合うようにカットした後に、抱き枕の中にセットしている。
いつでも自分の好きなキャラのおっぱい(ちっぱい)を楽しめるという算段だ。
淫語音声を聞きながら、抱き枕のおっぱいを楽しむと最高だ。

こういう話を友人にすると、頭の心配をされることが多い。
だが、私は世の中の大半の人は同じように変態で
私との違いは口にするか否かであると思っている。

みんなド変態なんだ。
思っていることを全て口にしたら、いやらしくなる筈だ。
下ネタ、変態ネタのオンパレード。
次回はそういう作品をご紹介。


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[短編集] 盛り合わせガール 鈴木小波(著) 全1巻

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色々な女の子が盛り合わせになった短編集。
巻末に作者様から「お好きな味があれば幸いです」とコメントがありますので
私が一番気に入った味『ライターゴースト』をご紹介します。


川辺 たんぽぽ、14歳は恋する乙女。
同じクラスで隣の列の、二つ前の席に座っている男子・林 やまぶきの事が気になっている。

背丈は同じくらい。
少しだけ早口で喋るやまぶき君。
他の女子は名字で呼ぶのに、たんぽぽはあだ名で呼ぶ。
たまに目が合う、でも顔をまともに見られない。
挨拶をしたい、でも言葉がでない。
だから、気持ちを手紙にしたためようとした。

ラブレターとして告げたい想い、でも文才がない。
気持ちを文字にすることができない。
「誰でもいいから小説家が降臨して代わりに書いて!!」

冗談で発したたんぽぽの言葉に、言霊が宿った。
背筋に寒気を感じたたんぽぽ。
たんぽぽが座っていた椅子はソファに変わった。
椅子にゴーストが宿ってしまった。
ゴーストは今置かれている この状況を溢れる文才で表現した。

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「川辺たんぽぽは突然の事に思考は止まり、息は乱れ
汗がたらりとソファに垂れた――」

ソファから感じる激しい息遣い。
恐怖や不気味さ、気持ち悪さ。
数多の負の感情がたんぽぽを背後から包み込む。
汗と涙が止め処なく流れ続けた。

ゴーストソファは荒川乱歩という明治から昭和にかけて活動した小説家。
恋文の代筆をすればいいのだろうと、たんぽぽを宥めた。

たんぽぽは恋する男子・やまぶき君のことを
恥ずかしながらも楽しそうに乱歩に話す。
「私が言う通りに書くといい」

乱歩は大人びた淫靡で恍惚とした文章を綴らせようとする。
恥を捨て、想いの丈を詰め込む。
やまぶき君にもっとたんぽぽを知ってもらうために。
全てを見て欲しいとラブレターに書き綴る。

全てを見て欲しい。
全てを知って欲しい。

うなじに可愛いホクロがあるのです。
産毛の数を数えてください。
汗の味をあじわって。
足を搦めて、首をしめあげて。

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だんだんと乱歩の言葉に酔いしれていくたんぽぽ。
乱歩も調子をあげていきエスカレートしていく。
そして行き過ぎた乱歩が安易な下ネタに走った所で、たんぽぽから睨まれた。

今までの文面と下ネタに差異はさほどないのだが、それは女心の難しさ。
乱歩は仕切り直して話題を変えようとした。
もしかしたら、やまぶき君はたんぽぽに好意を持っているのではと話す。
たんぽぽの話から、やまぶき君のたんぽぽへの好意を感じ取ったのだ。

そんなことはない。慌てて否定するたんぽぽ。
何故なら、やまぶき君はたんぽぽに消しゴムを投げてくる。
「好きな女の子にちょっかいを出すのは普通」

何故なら、階段で足をかけられて転びそうになったことがある。
「それはやり過ぎてしまったのだろう。乱歩にも思い当たる事があった」

何故なら、私の給食だけ消しカスや雑巾を入れられる。
私の持ち物が学校の裏山に捨ててあった。
髪も切られた。
シャツもスカートもビリビリだ。

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「いじめじゃん」

照れ笑いを浮かべるたんぽぽ。
その微笑みは、恋する乙女の表情そのものだ。
『川辺たんぽぽより』最後に宛名を記したことでラブレターは完成した。

そして、たんぽぽの想いが詰まったラブレターは、やまぶき君へと差し出された。


続きが激しく気になります。
表情は本当に恋する乙女そのものでありながら、その対象はいじめっ子。
肉体的に、精神的にいじめられることが大好きなドМなのか。
過去にご紹介した『女子高生に殺されたい』のオートアサシノフィリアのようなものなのか。

いずれにせよ、やまぶき君がラブレターを受け取ってからの話が描かれていないことが
妄想を激しく掻き立ててくれます。
物語がどのように分岐していくのか、色々と想像できて面白いです。

全8本の趣の異なる女の子の短編集。
男女の出会いや恋の始まり。
他では味わえない、少し変わった世界があります。
きっと誰しもお好きな味が1つあることでしょう。

同じ作者様の「出落ちガール」もオススメですので、何処かで紹介する予定です。


仮にドМが故にやまぶき君に好意を抱いてるのだとしても
このレベルになると引いてしまいます。
もしかしたら、やまぶき君もたんぽぽに好意を抱きながら
必要以上に嫌がらせをしてしまうドSなのかもしれない。
だとしたら、お似合いの2人です。

ドSとドМ。
好きになった女の子にいざ告白してみたら超わがまま女王様で激しく罵られる。
だけど、告白した子は、その上を行くドМだった。
次回はそういう作品をご紹介。


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[短編集] SONGBOOK ノッツ(著) 全1巻

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ほのぼのとした温かみの感じる全7編の短編集。
ほろ苦かったり、ほのかに甘かったりと
安心して読める優しい作品の数々です。

その中から、最も私の琴線に触れた、といいますか
私の古い記憶が蘇ってきた‶カラオケ大作戦〟をご紹介します。


「ふおおおお!クラスで一番地味で目立たない私が!!
憧れの木下君と一緒に遊べるぞ!!」
自室のベッドで悶えまくる女子中学生の後藤。

事の始まりは社会の授業で、木下と一緒の班になれたこと。
インターネットがお友達の後藤は、持ち前のサーチスキルを駆使して
必要な情報を完璧に調べ上げ、クラス最優秀の発表を行った。

女子により、班の打ち上げが企画され
大活躍をした後藤も漏れなく打ち上げに誘われたのだった。

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千載一遇のチャンス。
後藤はこの機会を逃すまいと
なんとか木下と親密になろうと意気込んだ。

打ち上げの詳細メールを待ちわびる。
口元がつい綻ぶ。
ニヤケが止まらない。
後藤は気分を落ち着かせるために、音楽を聴くことにした。

CDで音楽を聴く。
これも後藤の趣味である。
好きなアーティストの影響元を遡り、音楽の系譜を知る。
その流れで自分でCDを集める。
学校帰りにCD屋にいくことが、後藤の日常であった。

ピロリン。
後藤の携帯からメール着信音が鳴った。
打ち上げの詳細を知らせるメール。
そこには打ち上げがカラオケに決まったと書かれていた。

カラオケ。
このパターンは想定していなかった。
後藤は聴く専門で歌うのは苦手。
そして何より、今時の中学生が歌う曲が分からない。

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どうしたものか――。
後藤は苦悩の末、ネットに答えを求めた。
だが、どう調べても最終的に得られる答えは変わらない。
『そんなのわからないから直接訊けよ』
みんな聞いてる曲が千差万別なのだ。

残された手段はヤマを張るのみ。
木下の音楽趣向を勝手に想像して決め打ちするしかない。

木下はボカロから音楽にハマり
物語性のある歌詞とギターロックが大好き。
そこから邦楽のバンドも遡り聴きはじめたパターン。
つまり‶バンプオブチキン〟。
バンプに男子がハマらない筈がない。
幸いCDも所持している。

後藤の想像は飛躍を続け
木下と2人だけの妄想の世界を膨らませていく。
後藤は決めた。バンプで間違いない。

――打ち上げ当日。
「じゃあ最初…後藤さん!」

あれから後藤は色々考えた。
歌が上手くない私が普通に唄っても流されて終わり。
ならば突き抜けたインパクトを与える曲ではないとダメだ。

ピロォォォォォン。
モニターに表示されたのはコミックソングの代表とも言える
<金太の大冒険>

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普通の女子中学生なら絶対に歌わない曲。
だが、普通の中学生ならば知らない曲でもある。
皆がキョトンとする中、ひとりだけ反応を見せたのは木下だった。
「こ…これは、ちょっと…」
完全に引いている木下。

後藤はやってしまった。
金太以上の大冒険をしてしまった――。

その後、稀代の珍曲を熱唱したことで
面白い人だと女の子の友達はたくさんできた。
女の子の友達‶は〟――。


冒頭でほのぼのとした短編集と紹介しておいて
コメディ要素の強い作品を紹介してしまいました。
他の作品は、人と人の温かみを感じたり
ほのかな愛情、確かな愛情を感じる作品ばかりです。

主題の作品『SONGBOOK』は
最後に収録されておりたった7ページの作品なのですが
2人のキャラクターの長い付き合いを思わせる日常的な作品。

主題にSONGが入っているだけあって
他の作品にも音楽が絡んできます。

主人公たちに沸き上がる気持ち。揺れ動く気持ち。
ひとつひとつの作品を詩におきかえて
音楽を紡ぎだせる気がします。
素敵な作品です。


私の琴線に触れたというのは
実は私も初めて友達とカラオケにいったときに
金太の大冒険を熱唱したのです。

理由も後藤とほぼ同じ。
唄うのが好きでないけれど
スルーして欲しくはないから
少しでもインパクトのある歌を唄おうとした。

幸い、私は異性の友達がおりませんので
友達からの爆笑を貰い、初カラオケを満喫できました。

‶幸い〟じゃないですね
‶残念なことに〟が正しい表現ですね。
後藤に勝っているようで、負けていますね。

ですが、異性がいたら心に傷を負ってしまったかもしれない。

心に闇を抱えなくてよかったです。
子供の頃に抱えた傷は深く残るものです。
そういった人は犯罪を起こす可能性が極めて高いものでしょう。
現実から逃げ出したいと思う人もいるはず。
次回はそういう作品をご紹介。


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[恋愛] むずかしくって甘いこと 角野ユウ(著) 全1巻

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「俺と友達になってください!!」
男子校に通っている、女子に免疫のない杉崎 光樹(すぎさき みつき)が
同じ予備校に通っている女子高生・野々宮 栞(ののみや しおり)に思いを告げた。

野々宮は昔から内気な性格で、男子にからかわれてきた。
男子から逃げるように中高一貫校の女子高へ入学したため
野々宮も男子に免疫がない。

だから、杉崎の突然の申し出に
驚き、余裕を失い、つい「ハイ」と返事をした。
こうして野々宮は生まれて初めて男の子の友達ができた。

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折角だからと、これを機に男の子を克服しようと決意した。

一緒に予備校に行く約束を交わした2人。
杉崎は野々宮の女子高の校門前で待っていた。

並んで歩く道すがら
野々宮は男の子との会話の話題が分からずに口を噤む。
女友達同士の会話を話題にしては、彼氏の愚痴ばかりになってしまう。
どうしたものかと悩んでいると、口火を切ったのは杉崎だった。

「…これ」
杉崎はプレゼントを差し出した。
予想外の出来事に面食らってしまった野々宮。
杉崎はこれが以前のできごとのお礼であると話す。

1週間前のこと。
ペンケースを忘れて困っていた杉崎。
こともあろうに両隣が女子で声をかけることもできなかった。
たかがシャーペンを借りるだけだ。
意を決して、心を落ち着けて声をかけようとした時
隣の女子からシャーペンと消しゴムが差し出された。
「…こ、これ。よかったら、どうぞ…」
顔を耳まで真っ赤にさせ、ぎこちない仕草の女の子。

この子も異性が苦手であることが見て取れた。
それなのに、わざわざシャーペンを貸してくれた。
そのときは、ただイイ人だと思っただけの杉崎。

予備校での授業が終わり、シャーペンを返して
今一度しっかりとお礼を言おうとしたとき
女の子がボールペンでノートを取っていることに気が付いた。
杉崎が思っていた以上に優しい子。
杉崎はこの子ともっと仲良くなりたいと思った。
その女の子こそ野々宮栞。

野々宮は杉崎の想いを知り
男の子への不安が拭い去られ
恥ずかしさや嬉しさ、安心感に満ちていった。

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「友達になって」と言うほうが
シャーペンを貸すことよりも、ずっと勇気のいること。
野々宮はそのことに「ありがとうございました…っ」と感謝の言葉を贈る。
杉崎の心にも恥ずかしさや嬉しさで満ちていった。

プレゼントは可愛いノートだった。
男の子が買いに行くのに勇気がいる、そんな可愛いノート。
野々宮はまた嬉しくなった。

登校時の駅のホーム。
野々宮は偶然、杉崎の姿を見つけた。
同じ電車だったことに喜んだものの
挨拶したら迷惑になるのではないかと戸惑う。
でも、友達なら挨拶はするものだ。
免罪符を用意して「おはよう…っ」の挨拶を交わす。

杉崎の笑顔を見ると
挨拶をしようかと悩んだことが馬鹿馬鹿しく思えた。
優しさに包まれたように
杉崎には、これまで男子に抱いていた恐怖心を感じない。
杉崎は特別な存在になっていった。

電車内ではガラの悪い連中が騒いでいた。
野々宮の男嫌いは治った訳ではない。
どうしてもその様子に恐怖して萎縮してしまった。

しかし、野々宮が男嫌いであることを杉崎は知っていた。
杉崎は野々宮を電車のドアにそっと引き寄せ
ガラの悪いグループが見えないように、接触しないように
自分の身体で野々宮を守ってみせた。

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「こういうの嫌かもしんないけど、…ちょっとガマンして」
嫌ではない。
ただお姫様にでもなったかように大事に扱われ、ぽうっと顔を赤くした。
胸がキュンとした。

電車が大きく揺れ、ガラ悪男が転倒。
杉崎にぶつかり、杉崎はドアに頭を打ち付けてしまった。
自然と野々宮と杉崎の身体が接触する。
「―――ごっ、ごめん!!」
懸命に謝罪の言葉を重ねる杉崎。
野々宮はそんなに謝る必要ないのにと思いながら
むしろ、杉崎くんなら…と
男性に対して初めての感情を抱いていた。

目的の駅につくと、野々宮は電車から駆け出した。
向かった先は自動販売機。
ジュースを急いで購入すると、杉崎の元に駆け寄り
赤く腫れたおでこにジュースを当てた。
「…ごめんね、私のせいで…」

互いを想う2人の優しさが溶け合っていく。
杉崎が野々宮との、友達だけではおさまらない深い関係を願う。
野々宮も杉崎になら触れられても嫌じゃない。

杉崎の唇が、野々宮に近づいた――。


たまには少女漫画を読みたいなと思って購入。
まさに私が思い描いている通りの王道的少女漫画でした。
小さなことをキッカケにして、お互いの想いが募っていき
感情を爆発させたかのように、恋が進んでいく。

女子と男子、それぞれが奥手だからこそ
より恋愛に真剣になっているという様子が窺える。
だからこそ信頼しあえる、だからこそ求め合う。
読んでいてむず痒くなります。
きっと、杉崎と野々宮の恋愛はいつまでも続き
最終的には結婚するのでしょう。
危うさの感じない、安心感につつまれた恋。
こういう恋愛をしてみたかったです。
羨ましいですね。

オムニバス作品であり
表題かつ、今回ご紹介した作品以外にも3編の恋愛物語が収録されています。
いずれも、悶々とする男女の一途な恋模様が描かれております。

胸が張り裂けそうな純度100%の恋愛漫画。
恋愛経験の乏しい私が語ることはおこがましいのかもしれませんが
経験がないからこそ、こういう恋愛があるのかもと、夢を持たせてもらいました。


序盤に本の内容を紹介しておりますが
今回の作品は随分スラスラと書くことができました。
テーマがしっかりとしていて、テンポが良いからなのか
私自身が願っているからなのか、理由は定かではありません。
そして、書きながら高校時代の私を思い出して、死にたくなりました。

高校時代に女子高生と付き合ったことがありません。
女子高生と遊んだ記憶もありません。
女子高生に触れた記憶もほぼありません。

これから一生、女子高生と関わりを持つことはないのかもしれない。
可能性が残されているとすれば、あとは死ぬときくらいだ。

死ぬのはとても怖いが
どうせ死ぬのなら美しい女子高生に殺されたい。
次回はそういう作品をご紹介。


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[恋愛] i・ショウジョ+ 高山としのり(著) ①~④

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週刊少年ジャンプからWEB版の少年ジャンプ+に移籍したiショウジョ。
WEB版の強みなのか、以前よりも遥かにドキドキするシーンが満載。
タイトルの○の中に+が描かれた文字がいやらしく見えてしまいます。

「チネマコッ!!!」
関西から転入してきた高校1年生の三国 喜平(みくに きへい)。
お笑い芸人を目指しており、担任教師から「おもしろいことやって!」と
ハードルを上げられ、期待に満ちた空気の教室に入り
渾身のギャグを披露した。

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未来のお笑い核弾頭、三国喜平は不発した。

どっちらけの生徒達の中、笑っているのは担任教師だけ。
「そもそも先生がハードル上げるからウケやんのですよ!?」
「ハードルなくてもウケないわよ!私以外」
「それは一理ある…って言わすなやーー!」
意外にも三国と喜平のやりとりでヤヤウケ。

クラスが大阪出身のサムい奴の登場に沸きだした。
何はともあれ、楽しんでもらえたなら万々歳だ。
三国は担任に命じられるままに、自身の席に腰を落ち着けた。

その隣の席に妖精が座っていた。
いや、美少女だ。
とてつもない美少女だ。

美少女の名前は四央寺 真白(しおうじ ましろ)。
四央寺は三国の方をチラっと見てきて、三国と目が合った。
三国は女子が苦手だった。
照れてシャベリを噛んでしまう、それはお笑いにとって致命的なこと。
「四央寺さんよにょしくな!」
案の定、大切な挨拶を噛んでしまった。
「よろしくチネマコ君」

ギャグとして発した言葉を名前と勘違いされたのかと訂正するが
「ギャグは人を笑わせるものです」と逆に訂正されてしまった。

氷の女王・四央寺真白。
学園でも有数の美少女で入学して半年
誰も笑顔を見たことがないクールな美少女だった。

チネマコは、もとい三国は四央寺から
何でも願いが叶う魔法のアプリという話をされた。
そのときは聞いたことのない話に呆気に取られ、四央寺もそれ以上は語らなかった。

自然と四央寺を目で追うようになった三国は
四央寺を泣くまで笑わせてやると心に決めた。
四央寺を笑わせられるくらいの笑いのセンスが欲しい。
三国はマホウノアプリという言葉を検索してみた。

すると突然スマホから溢れ出る光。
三国は異次元空間に閉じ込められた。

三国の前に現れた魔法のアプリの説明書・アイビスを名乗る少女。
三国はアイビスに「四央寺を笑わせる位のセンスをくれーーー!!!」と願った。

「魔法はアナタの掌の中に」
異次元から現実に戻ってきた三国のスマホには
アプリ『magnet』がインストールされていた。
内カメラと外カメラに映った映像をドッキングさせてしまう魔法のアプリ。
これが笑いと何の繋がりがあるのかと思いつつも
三国はスマホをベンチに座りながら本を読む四央寺に向けた。

カメラの映像がそのまま引き寄せられた。
三国と四央寺の身体が引き寄せられ
カメラに映る映像が変わるたびに、2人の身体が引き合う。
2人の服が引き合う。
スマホが四央寺の下着を引き寄せる。

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四央寺の無慈悲な正拳突きが、三国の顔面に炸裂した。

後ろを振り向けば被害は小さい。
四央寺の天才的な閃きで背中を見せた四央寺だが
三国は何故か前を向いたままで、magnetが起動。
四央寺の股に三国の股間がジャストミート。
そして四央寺の蹴りが三国の股間にジャストミートした。

このままでは生活をずっと共にしなければならない。
トイレは三国を包帯でぐるぐる巻きにすることで事なきを得たが
風呂まで一緒に入る訳にはいかない。
三国の淫靡な妄想が頭の中をぐるぐると駆け巡る。

すると三国のスマホを手にした四央寺が
アプリに小さく解除の文字が記されてることに気が付いた。

離れ離れになる2人。
そのとき四央寺が意味深な言葉を残した。
「この機能じゃ私の願いは叶いません」と。
自分のスマホで写真を眺める四央寺。
そこには素敵な笑顔を見せる四央寺と、その弟。
2人仲良く同じストラップを付けて仲睦まじい姉弟の写真があった。
撮影場所は病院のようだった。

「弟さん…病気なんか?」
逃げるように去る四央寺。
電車に乗る四央寺を見つけた三国は、magnetを使い四央寺に引き寄せられた。
三国は悔しくて仕方なかった。
自分のギャグで笑わない四央寺の満面の笑み。
何としてもその笑顔を取り戻させたい。
「オレがお前の願いを叶えて笑ってもらう!!!」

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三国はmagnetを使って
引き裂かれた姉弟愛を引き寄せるために奮闘するのであった。


i・ショウジョから変わらぬクオリティでエロさが増している。
過去作に登場したキャラクターたちが所々に登場するのが
以前から読んでいる人にとって嬉しくなる所。

魔法のアプリを自分の為ではなく
誰かのために使う主人公たちの姿に心地よくなります。
私だったら自分の為にしか使わないことでしょう。
登場するアプリを私だったらどう使うかと妄想するのも楽しいです。
とても捗ります。

登場する女の子がいずれも可愛いです。
微エロシーンで胸や太腿、顔などに汗を掻いている所や
照れた表情を浮かべている所が官能的で沸き立ちます。

ミスコンテストでの熱湯風呂対決で
生徒会長が乳首を透けさせているシーンが私の大好物です。

これからもどんどん登場して楽しませてくれる魔法のアプリ。
アプリから芽生える愛や絆。
アプリが引き起こす微エロシーンに期待感満点の作品です。


魔法。どんな魔法でもいいから使えたらいいですね。
だが古くは魔女狩りなどとして迫害を受けてきた歴史もある。
突然、魔法で何かとんでもないことを起こしたら
災害として認定されかねない。

個人で街がひとつ滅ぶほどの魔法使いが出現したら
日本政府は魔法使いの対策をせざるを得なくなるだろう。
次回はそういう作品をご紹介。


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[ファンタジー] 魔法使いの事情 西原梨花(著) ①

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車に轢かれた猫。
女子高生の小鳥遊 えこ(たかなし えこ)は朝から少し嫌な気分になった。
可哀相だとは思う。しかし何も出来ることはない。

すると、男子高校生が猫に駆け寄り、抱きかかえて裏路地の方に走っていった。
あんなにも血塗れな猫をどうするのだろう。
小鳥遊は興味本位で、男子のあとを追いかけた。

「ニャー」
そこに、大怪我をした猫はいなかった。
いたのは元気な姿で男子と戯れる猫の姿があった。

男子の名前は一ノ瀬 修(いちのせ しゅう)。
彼は魔法使いだった。

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怪我を治したり、壊れたものを直すことのできる魔法使い。
小鳥遊は体育で転んだときに作った小さな怪我を一ノ瀬に見せると
一ノ瀬は魔法で簡単に治してみせた。
痛みもなく、傷跡も残らない。
まさに完璧な治療であった。

その後、携帯の液晶が割れてしまったときも
一ノ瀬は修理屋顔負けに、完璧に直してみせた。

小鳥遊は事あるごとに一ノ瀬に依頼。
友達が怪我したときも一ノ瀬に治してもらい
だんだんと一ノ瀬の魔法は知れ渡っていった。

人から良く頼まれるほどに噂される一ノ瀬の魔法。
小鳥遊は魔法を使うだけで人気者になれる一ノ瀬を羨ましくおもい
また一ノ瀬が忙しくなることで自分が頼みづらくなることを疎ましくさえ思っていた。
それに魔法を使うにも体力が必要であろう一ノ瀬を労う小鳥遊。
しかし一ノ瀬は「誰かの役に立てることが嬉しいんだ」と何事もなく笑い飛ばした。

ふと、道を横切るあのときの猫。
一ノ瀬の姿を確認して、すぐに裏路地の方に歩き去ってしまった。
小鳥遊は、血塗れで倒れた猫が可哀相だと思いながらも
怖くて何もできなかった心中を明かし
「一ノ瀬助けてくれてありがとな」と感謝の言葉を贈った。
小鳥遊が言うことではないが、きっと猫もそう思ってるだろうと伝えながら。

後日、紙で指を切ってしまった小鳥遊は一ノ瀬を探していた。
1人でこそこそと何事かしてる一ノ瀬を見つけた。
すぐに指を治してもらおうと話しかけようとして、口を噤んだ。
バンドエイド片手に、袖を捲りあげた一ノ瀬。
その腕には無数の傷跡があったのだ。

手元が狂って落として割れた瓶を、一ノ瀬は自慢の魔法で修復する。
すると、一ノ瀬の腕に、まるで鎌鼬でも起こったかのように傷ができた。
それが一ノ瀬の魔法の代償であった。

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小鳥遊は一ノ瀬にズカズカと歩みより
掴みかかって服を脱ぐように命令した。
そこには全身傷だらけの一ノ瀬の身体があった。

何も言わずに魔法で治してくれる。
そんな一ノ瀬の優しさに甘えていた。
気にしなくていい、これからも頼って欲しいと一ノ瀬は話すが
あんな姿を見てしまって、今までのように頼れるわけもない。

「なんでそこまでして他人を助けるんだよ?」
当然のように浮かんだ小鳥遊の疑問が、一ノ瀬に向けられた。
誰かが酷い怪我をしていたらどうするか。
普通の人ならば心配する、それで終わりだ。
それ以上のことはできない。
「でも、僕はそれ以上のことができてしまうんだ」
一ノ瀬も自分がしていることが、当然のことのように返した。
できるからする。できることはしなければならない。
ただ、それだけのことだと。

だが、小鳥遊には理解できなかった。
誰かを助けられなくてもいい。
自分が痛い思いをする方がイヤだと。

「僕があの時、猫を助けたのは、間違いだった?」
その質問に答えることはできなかった。
小鳥遊は一ノ瀬になおしてもらうことをやめた……。

それで一ノ瀬の傷が無くなる訳ではない。
既に魔法は広く知れ渡り、毎日毎日一ノ瀬は魔法を酷使する。
その度に一ノ瀬は傷つき、血を流した。
自分が傷つくことを省みずに苦しむ一ノ瀬の姿をみて
小鳥遊は涙を流すことしかできなかった。

放課後、小鳥遊はあのときの猫とじゃれあっていた。
猫を助けたのは間違いだったのか。
その答えは見つからない。

猫に別れを告げると
猫は車通りの多い、大通りの方に歩いていった。
嫌な予感がする小鳥遊。
そして、予感は最悪な形で的中した。

目前に迫るトラックの前を横切ろうとする猫。
あの猫を助けるために一ノ瀬は傷ついた。
一ノ瀬のしたことを無駄にしたくない。
駆け出した小鳥遊。
猫を庇う形でトラックの前に飛び込んだ。

絶体絶命の瞬間、駆け付けた一ノ瀬の力もあり
猫も小鳥遊も無事にすんだ。

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血まみれの一ノ瀬。
だけど、今回は小鳥遊も傷だらけだ。


一風変わった魔法を使いたちの日常を描く5編のオムニバス。
その第1話となる優しすぎる魔法使いをご紹介しました。

魔法が使えることで苦しむ彼らの姿。
ファンタジーな設定でありながら
現実の中をありのままに生き抜く彼らに、心動かされる。

特に出来るからすると自己犠牲の精神で
魔法で人々を癒す一ノ瀬の優しさに感銘を受けた。
またその事情を知りながら、見守ることしかできない小鳥遊の
悩ましい気持ちに痛ましくなる。
そして、その気持ちは第3話でより深いものになる。

作中の魔法使いたちは、どれこれも癖のある魔法で
これからどのように生活するのか、気になるキャラクターばかり。
そんな彼らに寄り添う人々の動向も気になる所。

心を揺さぶられる。
魔法に翻弄されながらも懸命に生きる彼らの生き様に考えされられる作品です。


魔法を使って人を治すことはできないが
医療機器を使って人を治療する手助けはしている。

現代の精密機械は昔の人にしてみれば
まさに魔法のようなものだろう。
もしかしたら、私も魔法使いの一員なのかもしれない。
いや、私のことを魔法使いと呼ぶのは、あと2か月半待ってください。
まだ私は29歳です。

昔の天才科学者たちが現代に呼び出せたらどうなるでしょうか。
現代の技術に驚いたりするでしょうか。
昔の天才科学者たちの発見した法則や原理は
今の数多の機械にも根付いております。
それらにきっと感動することでしょう。
そして、今の子供たちの科学嫌いも克服させてほしいですね。
次回はそういう作品をご紹介。


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[職業] ほんとに怖いブラックバイト 著者:複数名 協力:ブラックバイトユニオン 全1巻

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現代のアルバイト事情を紹介した作品。
サブタイトルの「大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件」
が内容の壮絶さを表現している。

著者一覧(敬称略)
あさいもとゆき、かみやナエこ、斎藤ふみ、たみ
長月まお、やまもとしゅうじ、山本幸男

悲惨なブラックバイトの実情が15連発。
心臓の悪い方にはおすすめできません。

第1話はファーストフード店編。ワンオペで有名な某牛丼店。

就活がうまくいかずに辛い思いをしている主人公。
卒業までの短期間だけアルバイトをしたいのだが、こちらも上手く事が運ばない。
そこで、人員不足に悩んでいる某牛丼店を思い出して突撃。
案の定、すぐに採用された。

レジ打ちと注文の取り方のみ研修で学び、店舗に配属。深夜シフト。
1日目は店長から注文が入ったメニューの作り方を学ぶ。
あまりのメニュー数の多さに、少しずつ覚えていこうと前向きな主人公。

そして、2日目。
店長は他店のヘルプに急遽行くことになった。
主人公はたった1人だけで店を任されることになった。

まだ2日目なのにも関わらず
いきなりワンオペを託された主人公。

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最初は昨日書き記したメモを頼りになんとかなったが
知らないメニューを注文する客が現れて――。

第2話はパン工場編。
大学に馴染めずに引きこもりとなった主人公。
父親の会社が経営不振で仕送りが半減したため、アルバイトをしようと決意した。
物覚えが悪くコミュ障のため、単純作業で人間関係が希薄なバイトを選択。

仕事内容はコンベヤーから流れてくるパンを、ただ引っくり返すだけの作業。
しかし、窓なしの密閉空間で40度の室内。
身動きがほとんど取れない状況に、暴れたい衝動に駆られる。

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だんだんと考えることをしなくなり、自分がまるで機械の一部のように錯覚していく。

5時間の作業の後に1時間の休憩。
その後、再び機械に戻ると、アルバイトが1人逃亡していた。
いつものことだそうだ――。

第3話はテレビ局編。
テレビ局への就職を目指す主人公が、先輩のコネでADのアルバイトをしている。
出社は深夜0時。
実働は午前3時~10時なのだが、交通費がでないため終電に合わせて0時出社。
0時~3時は待機時間扱いでタダ働きと、コキ使われている。

仮眠室は常に満室。ソファは争奪戦。
劣悪な環境でのお仕事。

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番組ディレクターからは指示が怒涛に飛び、一瞬の暇も与えられない。
暇どころか、人権すら与えられないと思う程に、仕事と罵詈雑言が飛び交っている――。


それぞれの作品にオチが用意されていたり
主人公たちの心情表現にクスリとする場面があるものの
だからといって素直に楽しく読めるという訳でもない。
読んでいて辛くなる。
いろいろと思い出して辛くなる。
ブラックなアルバイトを経験している人ならば
話のどれか、または全てに思うところがあるだろう。

人権を無視したかのような酷い仕打ち。
企業利潤しか求めていない待遇。

一見華やかでも、その裏ではドス黒い面や
嘘偽りで彩られている面があると再認識させられました。

不景気に苛まれる現在の日本に一石を投じ
これからアルバイトをしようと思っている人に
自身の憧れている職業に就職しようとしている人に警鐘を鳴らしてくれる作品です。

巻末にはこの作品の協力であるブラックバイトユニオンの活動や連絡先が記してあります。
被害受付や学習の場を提供しているとのこと。
ブラックバイトをしていると自覚のある方は、一度相談してみては如何でしょうか。


記憶から抹消していたと思っていたものが蘇ってしまいました。
私は以前、某大型家電量販店に勤めておりました。

派遣アルバイトで、倉庫勤務の契約で働きはじめたのですが
数週間後、客注商品の対応業務や顧客登録業務も任されました。

新規オープンの店舗でしたので
ポイントカード登録した客がわんさかやってくる。
山のような顧客登録に追われる。

売り場の人は研修を終えたばかりの新人ばかりで
廃版の部品を2~3週間で入荷すると伝えた為に、客注対応中にクレーム発生等々。

顧客登録があるていど落ち着いてくると
次に任されたのは電話オペレーター業務。主にクレーム対応。
簡易的なマニュアルを渡され、「頑張ってみて」と店長から一言。
研修や指導もなく、本当に唐突に仕事を任されました。

家電の取り扱いに慣れた人や、知識の長けた人は大体通販で購入しているため
大型家電量販店の客は老人やオバサンなど、機械に不慣れな人が多い。
特にオバサン方は感情で物を言うため埒があかない。

対応した店員を出すように求めて来るのだが、肝心の店員は対応してくれない。
何度も泣きそうになりました。

仕事をこなしてくるようになると、客の求めているモノが大体分かるようになり
クレーム対応も上手くなっていきました。
そして、上手くクレームを対応できるほど、その客がリピータになってくれたりする。

その他にも数多の雑務を並行してこなしていたため
派遣アルバイトながら、店舗にかかせない人物とまで言われるようになり
契約社員へステップアップしました。
その1年半後、辞めました。
復讐心から辞めた訳ではなく、このまま働き続けることに限界を感じたからです。

倉庫業務、顧客登録業務、客注業務、電話オペレーター業務、その他の雑務。
それら全ての並行業務は、常に走って仕事をしなくてはならず
足腰への負担や精神面への負担がとてつもなかったのです。

もし、あのまま仕事を続けていたら
身動きが取れない程に足腰が弱り、在宅医療を受けることになりそうだった。

在宅医療を受ける人にはそれぞれのドラマがあります。
医者にはその人生を診ることが必要です。

次回はそういう作品をご紹介。

長々とした自分語り失礼致しました。


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[短編集] 紅い実はじけた 高橋那津子(著) 全2巻

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むず痒くなりそうな、恋の予感を感じさせるオープニングから始まる
7人の男女の、恋の訪れや心の転機を綴った物語。

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第1話の『蓮先生の書斎』をご紹介します。

ヒロイン・晶は、伯父・蓮 廉十郎の書いた小説の虜になってしまった。
作中の主人公に惚れ、憧れを抱く。
素直に面白いと思い、最高に感動したシーンを父親に話す。
素っ気ない相槌を打ちながら、晶の話を聞く父親。
「お前そういう感想って、兄貴に言ってやってんの?」
「ううん、アレと蓮先生は別モノだもん」

小説に惚れ込んでいるものの
実際に書いている蓮には幻滅している晶。
感想を伝えたことなど、一度もなかった。

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すると、母親が沢山作ったからと言い、料理を蓮のもとに届けるように頼んできた。

ブツブツと愚痴を言いながらも、料理を届ける晶。
郵便受けの配達物を取り、洗濯物を取り込む。
庭先から部屋を覗きこむと、机に突っ伏して寝ている蓮の姿が見えた。

晶は引き戸を開け、丸めた新聞紙で蓮の脳天を直撃。
蓮を叩き起こして、母親が作った料理を振る舞った。

こたつの中に入った、ボサボサ頭の蓮。
ぐーたらした生活が見て取れるその姿に、晶は呆れ果てた。

本当にあの小説をこの男が書いたのか。
どうやってあの素敵な小説を生み出したのか。
晶の頭の片隅にある疑問。
それを解消したいがために、晶はひとつだけ頼みごとをした。
「あたし、伯父さんが小説書いてるとこ見てみたい」

「メンドくせーな」
愚痴を言いながらも、蓮は書斎の入り口
立てつけの悪い襖を開け、紙が散らばり、本に囲まれた書斎に晶を案内した。

たくさんの本に、晶は釘付けになった。
タイトルを見ても良くわからない本の山。
蓮が本当に小説家なのだと、実感させられた。

しかし件の蓮は、少し目を話した隙に居眠りをしていた。
起こそうとしてもビクともしない。

やはり小説を書いた蓮廉十郎は、晶の想像とは全くの別人。
晶の思い浮かべた蓮廉十郎は幻の存在だった。
憧れを失った晶は、蓮の家のこたつで眠ってしまった。

――「あれ……?」
雪が降る程に冷え込んだ夜。
晶は目を覚ました。
蓮が身に着けていた半纏が、晶の背中に掛けられていた。

「帰んなきゃ」
帰宅の途につこうとしたとき
書斎から漏れる光に気が付いた。
襖の隙間から書斎の中を覗くと、そこには紛うことなき
晶の思い浮かべた蓮廉十郎の姿があった。

真剣な眼差しで机に向かう蓮。
何かに思い悩むような、憂いを秘めた真剣な瞳に、晶の心も熱くなる。

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その場に居続けることが辛くなった。
伯父を見下してしまっていたことの後悔。
突如沸き起こった憧れのような慕情に、いたたまれなくなった晶。
お茶ぐらい飲んでいくかという伯父の誘いも
ぶっきら棒に断り、帰り支度を急ぐ。

頬を真っ赤に染めた晶の顔を、蓮に見せる訳にはいかなかった。
それでも、帰り際に顔を見られ、いそいそと帰っていった。

帰るや否や、晶は蓮へのファンレターを書き始めた。
やはり感想を直接言うことはない。
直接言わないことへの理由は変わってしまったが――。


ある事をキッカケにして、人の見方や考え方、価値観までも変えていく。
キッカケは男女間の恋慕の情であったり、憧れであったり、出会いであったりと様々。

気持ちを伝えられず、行動で思いを伝えようとする人たち。
不器用な人たちの思いの伝え方に、ときめいていく女性たち。

これが男女のあるべき姿なのかと思う一方で
もっと素直な思いの伝え方があるだろうと、もどかしさを感じる。

キャラクターたちの感情表現が豊かであり、ページを開いてく中で
1つとして同じ表情がないと感じるほど。
喜怒哀楽だけでない、いくつもの気持ちが入り交じった微妙な感情表現が
見事なまでに表現されている表情が魅力的。
頬を染めたときの女の子たちの可愛さは秀逸です。

感情が揺れ動く男女の、短くも色濃い色恋のストーリーです。


人の出会いは唐突。

遅刻しそうで走って目的地に向かうとき
曲がり角で異性にぶつかって恋に落ちるのは定番な展開。

漫画の定番は非現実でもあり
これまで何度か遅刻しかけて走って駅や学校に向かった経験はありますが
ぶつかった経験があるのは同性ばかり。

確率論から言えば、半分の確率で異性とぶつかってもいいものですが
ぶつかるのは同性だけなんですよね。一体何故でしょう。

遅刻しそうで走ってる女の子も、やはり同性の女の子とぶつかるのでしょうか。

雪国のような、雪や氷で道路が滑りやすくなっていると
ぶつかったときの衝撃も大きいでしょうね。
もしかしたら、相手の腕をもいでしまうかもしれません。
次回はそういう作品をご紹介。


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[エロ] リスナー はらざきたくま(著) 全1巻

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ラジオ番組をテーマにした4組のカップルの甘く切ない話と
ノスタルジックな雰囲気を醸し出す男女の関係を描いた短編4作品。

その中から冒頭の『電波少女』をご紹介します。

主人公・国本(くにもと)は日を跨ぐまで残業をしていた。
終電には間に合いそうもない。

時計を眺めていると、ふと学生時代を思い出した。
学生の頃、この時間はラジオを聞きながら課題に取り組んでいた。
「たしか、前の忘年会で貰ったやつが…」

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[百合] 星をふたりで カザマアヤミ(著) 全1巻

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可愛い女の子ふたりで分かち合う世界。
ただの友達ではない、少しドキドキする5つの物語。

表題作品である『星をふたりで』は、フランスからの転校生の女の子に
話しかけるキッカケを窺っていた女の子が、彼女の読んでいた本と同じ本を読み始める。
そのことが2人の距離を縮めていき、本の内容を語り合う中で
お互いのことを理解していく、心温まる物語。

個人的にお気に入りなのは、2作目の『銀河に広がる世界をふたりで』。

主人公・瀬名(せな)は文学少女。
同級生が芸能人の話で盛り上がる中
瀬名が好きな有名人として挙げたのは宮沢賢治。
特に『銀河鉄道の夜』が好きだと、会話に参加しようとするが
文学なんてツマラナイと同級生に一蹴されてしまった。

そこに瀬名も「もっと教養を身に付けたら…?」と負けじと応戦。
同級生との距離は双方向で開いてしまった。

図書室でひとり寂しく、瀬名は銀河鉄道の夜を読んでいた。
すると、そこに話しかけてきたひとりの少女。
「瀬名ってそれ好きなんだ?あたしも好きなんだよね宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』」

驚いた。
馴染みのないクラスメイトに話しかけられたこと。
そして、同世代で自分以外に文学をちゃんと読んでいる子がいると思わなかったから――。

彼女の名前は三森 空(みもり そら)。
文化祭準備でバタバタしてるから抜け出してきたと語る。
瀬名とは異なり、クラスに馴染めていない訳ではないが、いつも1人で寝ている印象。
文学作品に触れているとは思えなかった瀬名は
「銀河鉄道好きってのはウソでしょ」と疑いの目を向ける。

「瀬名って性格わりーから ぼっちなのなー」
三森の言葉が瀬名に突き刺さった。
そして、瀬名の読んでいた銀河鉄道の夜の初めのページを開き
冒頭の内容を暗唱してみせた。

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内容に触れ、描写を語り、感想を語る三森。
瀬名は初めて自分と同じ趣味を持つ同級生に感動した。

思わず、瀬名も銀河鉄道の素晴らしさを語りだした。
しかし、瀬名の愛してやまない部分と、三森の好きな部分は異なっていた。
瀬名が物語のポイントだとして語る部分を、三森は興味ないと一蹴。

瀬名はついつい熱を上げ、上から目線で三森を捲し立てる。
それでも三森が好きな所は別の所。そこを曲げようとも思わない。

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翌日、瀬名は自分の感性を三森に理解してもらおうと
中学時代の読書感想文を三森に読ませ
作者の裏側、登場人物と作者の関係をつらつらと語り始めた。

瀬名の一方的な熱意も
三森は「作者の裏側とかどーでもいー」とバッサリ切り捨てた。

それでも、それからもふたりは銀河鉄道の夜を語り合った。
最後の最後で相容れないお互いの趣味ではあったが
それでも三森はそれが楽しいと語っていた。
瀬名も、心の奥底ではその関係を楽しいと感じていた。

だが、銀河鉄道みたいに綺麗な景色を色々な人に見せてあげたい
だから電車の運転手になりたいと楽しそうに笑いながら夢を語る三森に
瀬名はジリジリと焦りのようなものを感じ、つい三森の夢を否定してしまった。

睨むような、蔑むような、そういう目つきをされた。
三森は明らかに怒っていた。

怒るのも無理はない。
瀬名は自分が言い過ぎたことも分かっていた。

翌日、三森は図書室に現れなかった。

頬を伝う涙が、楽しかった記憶を呼び起こしていく。
合わなくても、ケンカしても
ただ話せれば、それだけで嬉しかったんだ……。
大切な友人を失って、初めてそのことに気が付いた瀬名。

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謝らなきゃ。
謝らなきゃ…っ!!

瀬名は図書室を飛び出し、教室へ向かおうとしたのだが――。


全5編に亘り、女の子同士の友情の出会いと衝突が描かれ
なんとなくドキドキします。

相手のことは実際に話してみないと分からない。
見た目から感じられる印象との違い、話してから分かる相手の優しさもこの作品から伝わってくる。

気持ちは言葉にしないと伝わらない。
初めの1歩を上手く踏み出せないでいる女の子たちのもどかしさや切なさ、苛立ちも
ひしひしと伝わってくる。

お気に入りである『銀河に広がる世界をふたりで』は
私自身の経験と似ている部分があり、共感できる部分が多々あった。

人との感性や価値観の違い。
同じものでも捉え方によって大きく感想は異なる。
それらを全て受け入れることが出来て、初めて作品のファンになれるのかもしれない。
そして初めて、本当に人のことを理解して友達になれるのかもしれない。

ただ女の子が仲良くしているだけではない。
女の子同士の本当の友情の形。
友情から1歩踏み出したかのような、とある愛の形。
色とりどりの感情に彩られた素敵な作品です。


漫画はたくさん読んでいますが
文学作品に関して言えば、有名どころはほとんど未読。
銀河鉄道の夜も未読です。

人に薦められるほどに、その作品を敬遠してしまいます。
ハイ、天邪鬼です。

ただ三森の語っていた銀河鉄道の夜の冒頭は、確かに素敵だと感じた。
三森の云うように、独特なリズムと音、色の対比など
短い文章ながらも情景がしっかりと浮かぶ。
やはり素晴らしい作品なのでしょうね。

とは言いつつも、29歳にもなって銀河鉄道の夜は今さら感が漂うため
やはり敬遠してしまいます。
漫画を読み漁っている私が言うのもなんですが。

ただ文学作品を読みながら、鉄道に乗って旅行をする事に憧れはある。
気ままな1人旅。少し格好いい気がする。

まぁ、あまり時間とお金もありませんので
せいぜい鎌倉くらいでしょうか。

鎌倉はいいところですよね。
グルメも観光も満喫できて、1日では遊びつくせません。
いっそのこと鎌倉に下宿して、文化に触れてみるのもいいですね。
次回はそういう作品をご紹介。


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[短編集] ステラ 香月ゆら(著) 全1巻

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植物をどこかに絡めた5つの短編。
なりゆきで小説家になった者の葛藤を描いた『春の五月』。
親を施設に見送ったあとに浮かぶ感情を見つめた『アカシアの家』。
未知との遭遇により小さな天才に芽生えた感情とそれを支える助手『ステラ』。
恋情が教えてくれた共生の価値『宿り木の告白』。
雨乞いの生贄となり水に沈められた少女が下り立った別世界『降れよ太陽』。

その中から冒頭の春の五月をご紹介。

法事の為に久しぶりに戻った故郷は、5月だというのに桜が咲いていた。

桐谷 静一(きりたに せいいち)は大学3年のとき、就職活動が嫌で、なんとなく小説を書いた。
すると、大きな賞を貰い、そのままなんとなく小説家になった。

周囲に褒められ、夢を叶えたことを凄いと称えられた。
しかし、静一は小説家になる夢など抱いた記憶はなかった。

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そんなだから、次の作品に手をつけることが出来ない。
それならば、周りが求めるものを書こうと
自分の作品に宛てられた評価に目を通すが、思い通りにいかない。

だが、静一は自分が小説を書けない本当の理由を知っていた。

静一が書いた小説、それにはモデルがあったのだ。
最初は自分で思いついた話だと思っていた。
しかし、賞を貰ってから思い出した。
これは小学5年生のときに転校してきた成田 雪乃(なりた ゆきの)の話だ。

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雪乃は静一の親戚だった。
親戚な上に、同じクラスになった事で最初は色々と気にかけていた。
だが、その様子を見ていた男子たちに「雪乃のことが好きなんだろ」とからかわれ
雪乃を避けるようになってしまった。
そして、雪乃は卒業と同時に転校していった。

その経験は罪悪感を呼び、いつしか記憶の片隅に追いやってしまっていた。

無かったことにしようとした記憶。
雪乃を傷つけてしまった記憶。

そんなことを題材に小説を書き、賞をもらって小説家になった。
静一の抱いていた罪悪感が更なる罪悪感を招き
再び雪乃のことを傷つけてしまったのではないかと怖くなった。
だから、小説を書くことができなくなった。

法事の席。
親戚である雪乃もやってくる。
静一が小説家になったことは、親戚中に周知されている。

静一は雪乃に会うのが怖かった。
だけど、どうしても会って話さなければならない。

周囲をキョロキョロと見回す。
それは雪乃に会うためか、はたまた避けるためか。

「桐谷くん…だよね?私のこと覚えてる?」

先に声を掛けたのは雪乃の方だった。
突然のことに、話そうとしていた事が吹っ飛んでしまった。

心を落ち着かせて、小学5年生のときのこと、小説のことを順を追って話したが
そんな静一を、笑って吹き飛ばす雪乃。
不器用ながら気にかけてくれた優しい男子として、静一は雪乃の中で思い出となっていた。
そして小説のことも雪乃が題材になっているとは気づいていなかった。

作品の主人公は雪乃とは別人。
雪乃をモチーフにしていても、静一の中を通って、別のものになっている。
それは静一が作ったからこそ生まれたもの。
胸を張って誇るべきものだと、静一は雪乃に諭された。

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肩の荷をおろした静一は、閉ざしていた古い記憶が開いたのを感じた。
思えば、静一は雪乃のことが好きだったのだ。
だから、からかわれたことに腹を立てたのだ。

だけど今、雪乃には家族がいる。
開いた記憶と共に蘇った恋情は、その場で儚く散った。
でも、どうしようもなく嬉しかった――。

静一の迷いを掻き消すように一陣の風が吹き
桜の花が、静一の新しい出発を祝うかのように咲き乱れていた。

小説が、書きたくてたまらなくなった――。


恋愛ではない。
それでも人を好きになる気持ちや思いが詰まっている。
気持ちを素直に伝えられない切なさが感じられる作品の数々。

表層的な人間の感情や、深層に潜む人間の感情が描かれ
自分の思いすら理解することが難しい歯痒さ、もどかしさ。

そして、モチーフとされた植物が、物語を華々しく、時に儚く彩っている。

様々な感情が、短編集という形で凝縮された
切なく、悲しく、そして面白い作品です。


漫画は描けない。
小説も書けない。
私は読む専門である。

静一が書いた小説には、書き手にしかわからない思いがこめられている。
それを読み解くことは、書き手の人生を知りえない者には難しい。

私が読んできた小説や漫画にも、そういった思いがこめられているのだろう。
また私が独自に解釈してしまったものもあるだろう。

読者同士で感じ合ったことを話し合ったら
それぞれに異なった解釈が出てくるのだろう。
それが原因で衝突することもあるかもしれない。
次回はそういう作品をご紹介。


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[短編集] ケシゴムライフ 羽賀翔一(著) 全1巻

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日本初、マンガ家育成ファンド支援作!
簡単に言うと、投資によって出版された漫画。
132名の投資家が出資を決めた話題作ということです。

期待の新鋭と評される著者の初単行本、デビュー短編集。

本著のタイトルにもなっている『ケシゴムライフ』の第1話をご紹介します。

学校の教室の床。
それは正方形のマス目模様になっている。
まるで僕らの人間関係を表しているようだ。
関わり合うことを避けるかのような境界線。

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この境界線はなかなかに厄介だ。
勇気を出し、境界線を跨いだと思ったら、すぐに境界線を引かれてしまう。

消しゴムを借りたい。
たったそれだけのことが、適わずにいた。

漫画を描いている高橋に声を掛けたが、取り付く島もない。
さすがは漫画描き、境界線を引くのはお手の物だと言う訳か。
少し皮肉ってみた。

高橋の描く漫画は、ユーモアが溢れて、キャラクターが活き活きと会話を弾ませている。
それとは反対に、実際の高橋は何一つ喋ろうとはしない。
高橋が席を離れた隙に、高橋の描く漫画を読みながらそう思っていた。

結局、誰一人も消しゴムを貸してはくれなかった。
だから授業を一切聞かずに、小説を読んだ。

その小説にはこのように書かれていた。
人間という言葉は『人の間』と書く。
人と人の間、空間、距離。
それはどうやっても取り払うことはできない。

つまり僕らの人間関係は綺麗な正方形のマス目ではなく
間に隙間のある漫画のコマのような模様である。

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その隙間が人を孤独にしている。

隙間があるなら、埋めればいい。
僕たちには言葉がある。
隙間を言葉で。

高橋の描いた漫画のコマの隙間に、感想を書いた。

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それは高橋が失いかけていた漫画を描くことへの自信を取り戻させた。

再び消しゴムを忘れたが
次はちゃんと授業を聞けそうだ。


台詞回しや例え話、比喩表現といったものが巧みに使われ
詩を読んでいるかのような温かさのようなものを感じた。

ストーリーも人間味が溢れ、自分のこれまでの生き方、これからの生き方を
見つめ直すきっかけにもなる。

鉛筆の傍らに消しゴムがあることの役割。
それは、ただ間違いを消して書き直すためだけのものではない本当の役割がある。
その本当に役割に感動した。
職場で後輩に何かを教えているときに、サラッと言ってみたいと思った。
気になった方は是非コチラの漫画をお買い上げください。

短くて完成された物語の数々。
それでいて話に奥深さが感じられる。
こういった漫画を描き上げることは難しいことだろう。
羽賀先生のこれからの活躍に期待しております。


私の人生において、消しゴムで消したい過去がたくさんある。
その多くは人間関係によって生じたもの。
本当に、人と人との境界線というものは難しい。

難しいのは人間関係ばかりではない。
人間と動物、人間とペットの関係、境界線も難しくなっている。
最近ではペットを人間と同じように葬ったり
ペットに遺産を相続させようとするケースもある。

以前、アイボというロボットペットブームがあった。
近い未来、ロボットが人の傍らにいることが普通になったら
どれだけの愛情を人は注ぐのだろうか。

機械で出来た人形に依存するようになってしまうのではないだろうか。
きっと、引きこもりや未婚者が今よりずっと増加するのだろう。
次回はそういう作品をご紹介。


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[BL] 恐ろしい童貞 日野晶(著) 全1巻

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新進気鋭の画家・九条 貴弘(くじょう たかひろ)は恋愛経験ゼロ。
しかし次の絵画のテーマは『官能』であり、どうしたものかと悩んでいた。

恋愛に積極的になれない上に女性が苦手。
そこで貴弘はゲイ向けの出張ホストに依頼をすることにした。

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[ファンタジー] 制服魔法(セーラーマジック)みどりちゃん 水あさと(著) 全1巻

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オムニバス形式で繰り広げられる魔法少女たちの物語。
彼女たちの魔法はどれも少しだけエッチな要素が含まれる。

中学1年生の池端 みどり(いけばた みどり)には秘密がある。
それは制服を着ると魔法が使えるようになること。

制服を着ると男子にモテるようになる魔法。
しかし、みどりはそれをコントロールすることができず
誰彼かまわず求愛されてしまうこの魔法に迷惑していた。
この魔法を解除する術は制服を脱ぐしかなく
異性に追い掛け回されては制服を脱ぐことになるみどり。

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そして、この魔法にかからない男性もいた。
実はこの魔法、本当に好きな人には効果がない。
だからこそ、みどりは自分のこの魔法が嫌いだった。

本当に好きな人は自分の力で手に入れなければならない。
みどりは勇気を出して、好きな男子・大地(だいち)へと告白する決意をした。
しかし、他の男子たちが邪魔をしてきてなかなか告白をすることができない。
ついにみどりは男子たちに囲まれ、逃げ道を失った。

そこでみどりがとった行動は、最後の手段である制服を脱ぐことだった。
制服を脱ぎ、勢いあまって下着も脱ぎ
全裸となったみどりは大地に思いを告げることに成功。
そして、大地自らも全裸となりみどりの思いに全力で答えたのだった。

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周囲の男子全員から変態呼ばわりされながらも。


その他にも癖のありすぎる魔法が少女たちを翻弄する。
いずれも制服をきている時にしか発動しないのだが
制服をきていることで、彼女たちのエロさが増幅する。

人の気持ちがわかる魔法を使える生徒会長。
しかし、レベル2程度の好きな気持ちが増幅されて伝わり、レベル99の大好きな気持ちが伝わってくる。
どんな想いも増幅されて伝わってきてしまうため
生徒会長は人の注目を集める度にビンビンに感じてしまう。

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瞬間移動が使える女の子や
色々な魔法が使えるけど代償を伴うものなど
はちゃめちゃでエロスなマジカルストーリー。

チクビの表現がないながらも、十分なエロスを感じられる貴重な作品。
水あさと先生の描く女の子は常に可愛らしく、特に赤面したときに表情は抱きしめたくなるほど。
この作品はその赤面女子が余すところなく登場する。
とても良い。
1巻だけで終わってしまうのが惜しいですね。

魔法少女モノの作品は数多あるけれども、その中でも飛びぬけて異色な作品と言える。

ただ、この魔法少女たち。
私の身近にいてくれたら、私の人生はとても輝かしいものになることだろう。
追いかければ全裸になってくれる女子中学生。
好意の目を向ければビンビンに感じる女子中学生。
様々な制服魔法を持つ女子中学生。
女子中学生。

あぁ、そうか。
そもそも私は女子中学生が身近にいてくれるだけで嬉しいんだった。

かといって女子高生に興奮しない訳ではない。
こんな女子高生が身近にいたら、さぞかし楽しいことだろうと感じたキャラクターはいる。
奇抜な行動で周囲にときどき嵐を招く。
可愛いという言葉だけでは言い表せない魅力をもった悪戯好きな女子高生。
それが血の繋がっていない姉だったり。
次回はそういう作品をご紹介。


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[恋愛] i・ショウジョ 高山としのり(著) 全3巻

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魔法のスマホアプリにより巻き起こされる様々なオムニバスストーリー。
愛のアプリから始まるいくつもの恋の始まり。
微エロ展開が堪りません。


主人公の岡尻 鉄太(おかじり てった)は癒し系グラビアアイドルに浮かれ
それを幼馴染の宮尾 銀子(みやび ぎんこ)にバカにされていた。

昼食の時間。
鉄太は友人たちの食事を摂っていた。
気さくな性格と可愛い顔で、銀子は男子から人気あるんだぜと語る鉄太の友人たち。
しかし鉄太は、銀子に対して「どーでもいい」とぶった切りにした。
それならばと、友人は鉄太に対して銀子のスリーサイズを聞いて欲しいと頼まれた。

安請け合いしたものの、鉄太はなかなか3サイズを聞くことができない。
銀子に話しかけようとしたとき、鉄太は魔法のアプリの話を聞いた。
ある検索エンジンと検索ワードにより出てくる魔法のサイト。
そこに辿り着ければ魔人に会え、願いを叶える魔法のアプリを貰うことができる。

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銀子の3サイズが知りたいなぁ……と思いながら
鉄太は『間邦のアプリ』と打ち間違えて検索をしてしまった。

すると突然、バーチャル空間に閉じ込められた鉄太。
アイビスという女性からアプリを受け取った。

アプリを起動すると[あなたの好きな人を表示中:宮尾銀子]。
(銀子のことなんか好きじゃねーし!)と思いながらも
表示された銀子の画像を弄り、スカートを捲ってみた。
すると現実の銀子のスカートも捲れあがり
すると画像と全く同じパンツを穿いている銀子。

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アプリは厄介なことに常駐アプリ。
鉄太は画像の銀子の乳を指で弾く、乳を上下に激しく動かして遊んだ。
すると現実の銀子の乳も上下に激しく揺れ動く。
悶えながらも何だか分からない現象に恐怖する銀子。

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そのとき鉄太は確信した、このアプリが現実の銀子と繋がっているということを。

アプリを削除しようとするが、3サイズを聞き出すまでアンインストールができない仕様。
アプリを利用して何度も3サイズを測ろうとするも失敗が続いた。

鉄太が四六時中スマホを弄っていることを不審がった銀子は鉄太のスマホを奪った。
すると自分が表示されたアプリ、そしてそのアプリに触れると自分の身体に変化が起こる。
銀子はこれまでに自分に起こってきた現象との関連性に即座に気が付いた。
頬を叩かれた鉄太。
2人は距離を置くようになった。

しかし、――。


1巻では、もう1つストーリー。
振るだけで異性を誘惑させる香りのでるアプリが恋を起こさせる。

可愛いイラストと微エロなストーリー展開。
このぐらいのエロさはコミックボンボンで育った私にとっては大好物。
エロいシーンでは胸ポチがメインとなっているが、時折乳輪を覗かせるシーンがある。
このくらいのエロさを貫いていって欲しいです。

自分の気持ちに素直になれない青春時代に与えられた魔法のアプリ。
アプリを所持する彼らの純情さは、アプリ使用の妨げにもなり、アプリを有効利用する武器にもなる。
数多の主人公たちがこれからどのようなアプリを手に入れ
それをどのように利用していくのか楽しみです。

そして私は、自分ならそのアプリをどのように利用するのかを妄想します。
そこには、この作品のような女子への優しさは存在しません。


相手を自由にできるアプリ。
それくらいのものがないと、私が理想とする女性と結ばれることはないだろう。
仮にそのアプリが存在したとしても、美幼女と結ばれるには法律という高い壁が存在する。
幼い少女と結ばれる希望があるとすれば、生殖能力を有する女の子が幼い少女しかいない世界になるしかない。
次回はそういう作品をご紹介。


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[恋愛] 週刊少年ガール 中村ゆうひ(著) ①~②

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恋に目覚めた美少女たちに訪れる奇病。
それらは意中の男子との関係を急接近させる。
奇抜な発想と美麗な絵柄によるショートオムニバス。

第1巻では14編ものストーリーがあり、お得感この上なし。

漫画好きな男子の青井は、女子の市川から突然声をかけられる。
「青井くん、ちょっといい?」
何か用か、軽いリアクションをとった青井。

しかし、神妙な面持ちで
「今は話しづらいから、放課後に人がいなくなってから……」と付け加えた市川の姿を見て
ドギマギしてしまい、放課後まで心ここに非ずな青井。

そして放課後。
市川は制服の上着を捲って、青井に腹を見せた。
すると、そこには漫画が描かれていた。

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何がなんだか分からず
とりあえず漫画を読むことにした青井。
女子の身体を凝視しながらも、漫画を読むという異様な空間。
異性を感じて、お互いにドキドキしあっていた。
しかし、青井のドキドキはいつしか別のドキドキに変わった。
漫画は予想外にも面白かったのだ。

少ないページ数ながらも魅力的なキャラクター。
緻密に計算された構成力と演出で、先を期待させるストーリー。
子供向けのように見えながらも、深く読みこめば作品のテーマが伝わってくる。
青井はこの漫画の虜になってしまった。

お腹に描かれた漫画は2,3日で消え、安心していた市川ではあったが
翌週になると漫画の続きが出現。週刊少年ガールとなった。
青井は毎週更新されていく市川の腹漫画が楽しみで仕方なくなった。

しかし突然、市川の腹漫画が出なくなった。
漫画が楽しみでしかたない青井は、市川の着ている服を引っぺがし身体の隅々まで調べ上げた。
すると、――。


友人からおしゃれさん(又はサブカル野郎)と思われていた女子・日野の身体に模様が現れた。
日野の感情を露わにさせる模様。クラスメイトはそれを見て楽しんでいた。
しかし、男子の小宮山が近づいたときだけは模様が現れない。

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それを嘆く”日野LOVE”な小宮山ではあったが
「あんたの前だとあたしが普通でいられるってことでしょ。そういう人って大切でしょ」と
日野に慰められ、元気を取り戻した。
そして、日野の靴下が変な模様であることに気が付いた。
それは、――。


言葉が多重音声のようにダダ漏れとなり
相手に何を話しているか理解されなくなった女子・小倉。

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しかし、その言葉を理解できる男子が現れ――。

他にもたくさんの女の子が恋の病におかされ
運命の男子という名医によって治療されていく。

ここ恋が始まったと分かるストーリーもあれば
これがきっかけとなり、恋の始まりを予感させるようなストーリーもある。
甘酸っぱい彼らの青春に、フシギ現象というスパイスが加わることでの独特な味わい。

これからどのようなヒロインが登場し、どのようなストーリーが繰り広げられるのか全く想像もつかない。
だからこそページを捲る手が躍り、いつまでも楽しく読み進められる。

全14編で1編1編をテレビCMの合間に読んでいくこともオススメ。
ちなみに私はそのようにこの漫画を楽しみ、途中からテレビを消しました。


漫画の中で2つの男女間に起こる奇病というと
2人の魂が入れ替わって性別が反転するといったものがパッと浮かぶ。
そこまで王道の展開はこの作品には登場しないだろう。
仮に登場したとしても、遥かに斬新な設定が付け加えられることだろう。

ジャンルとしても確立しはじめられた性別転換もの。
自分が思いを寄せる女性と入れ替わったら大興奮してしまうだろう。
気分が高鳴って、何をするにもドキドキしてしまうはずだ。
しかし、それも束の間、どのように生活していいか早々に困るはずだ。
次回はそういう作品をご紹介。


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[百合] Girl@Girl まに(著) 全1巻

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たくさんの可愛い女の子の表情がつまった作品集。
百合姫コミックスであり、登場人物は全て可愛い女の子です。
女の子同士の恋愛を描いているというよりも
恋愛にいたる1歩手前の物語をほのぼのと描いています。

夏祭りに行くために、夏休み中の補習を頑張る女の子とその友達の話。
隣に引っ越してきたツンデレ幼女の送り迎えをする話。
女の子同士の友情だと思っていたものが、実は恋愛感情であったと暴露され戸惑う女の子の話。
友達付き合いの中で、友達をときめかせてしまう女の子の話。
女の子同士なのに、センパイを本気で好きになってしまった。しかし、センパイが大変なことにという話。
甘えん坊の幼いお嬢様と、お嬢様を甲斐甲斐しくお世話するメイドの話。
仮面というなの笑顔を剥ぐために告白する女の子の話。

とても可愛らしく、ときにコミカルに女の子たちが
笑ったり、照れたり、泣いたりと色々な表情を魅せる。

絵柄自体がとても柔らかく、ほんわかとしているため
そこに表情の豊かさが加わり、反則級の可愛さをアピールしている。

私としては、目に涙を溜め、思わず涙が零れてしまったのだと分かる表情が素晴らしいと感じた。
登場人物の感情の昂ぶり、抑えられないほどに想いが強いのだと分かり、作品に惹きこまれていった。

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個人的にお気に入りの作品は2作目の「恋に××は関係ないよね!」
ヒロインの女子高生の隣に引っ越してきた可愛いけどナマイキな幼女。

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その幼女の母親に突然仕事が舞い込んでしまったため、幼女を幼稚園まで送れる人がいなくなった。
女子高生は自身の母親から言われ、渋々幼女を送り届けることになったのだが
送り届ける最中は終始無言、ひどく疲れてしまった女子高生であった。

女子高生が学校から帰ってきた午後6時。
隣の幼女の家は、まだ明かりが灯っていなかった。
幼稚園で1人ぼっちで母親を待っている寂しげな背中を想像した女子高生は
いてもたってもいられなくなり、幼稚園へと駆け出した。

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そして、2人の仲は急速に接近する。
幼女に独占欲が芽生えるほどに――。

どの話も、大なり小なり恋愛感情に似た独占欲を抱いており
そこがまた、この作品の愛らしい一面であると思う。

身長差や年齢差といったギャップ。
そういったモノがある同性同士の友情や恋愛感情は心が和ませられる。

私の場合にいたっても、甥っ子や姪っ子と楽しく遊んでいると
「保父さんになればよかったのに」と言われるほどに場を和ませている。
「ロリコンな上にショタコンなのかよ、マジきめぇwww」とは言われたことがありません。

滅多に顔を合わせない甥っ子であり、顔を合わせる度に人見知りしてくるのですが
すぐに楽しく遊ぶほどの仲になります。
幼子は本能的に優しい人間のことがわかるのでしょうね。
別にツッコミを期待している訳ではないです。

大人は子供と接することで優しさや思いやりを学べる。
子供は大人と接することで人付き合いのノウハウを学べる。
年齢差のある人と人の繋がりは、お互いにとってコミュニケーション能力を鍛えるいい方法である。
きっと新たな友達をつくるキッカケになることだろう。
次回はそういう作品をご紹介。


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[ファンタジー] 現代魔女図鑑 伊咲ウタ(著) ①~②

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人口の数%が魔女の力を持つ世界。
そこに男女の区別はなく、必要となるのは魔女の「血」のみ。
魔術を生業とする人間は数万、その職は化学から占術、土木、運搬と多岐に亘る。

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そんな魔女たちを中心とした様々なオムニバスストーリー。

初めの話は、魔女の姉と普通の人間の妹の話。

妹の三州 エリ(さんす えり)の元に、一緒に勉強をするという名目で
レイという同級生の男子が訪ねてくる。レイを一緒に出迎える魔女の姉。
姉は、中学1年生という若さで男を連れ込むエリを茶化した。
顔面を紅潮させ、慌てふためくエリとは対称的に、落ち着きはらった様子のレイ。
魔女はそのレイの様子がどうにも気になっていた。

部屋に2人きりとなり、勉強をしながらも言葉を交わす。
しかし、そこに楽しげな雰囲気は見られない。
会話をしながらもレイはスマホを片時も手放さないのだ。

その様子をステルス魔術を使い覗いた姉。
レイは中学校の裏サイトでエリと魔女について、嘲笑するような内容で実況をしていた。

姉はレイのスマホを魔術でバラバラに壊す。
怒り狂ったレイは「コイツが明日からどーなると思ってんだ」
と暴言を吐くが、姉に言いかえされ逃げ去る。

レイの負け犬の遠吠えに全く動じない姉ではあったが、渦中のエリはそうではなかった。
魔女の才能もなく、頭も良くなく、モテない。
誰からも期待されないから、せめて人間関係にしがみついていきたい。
自分の悩みの種を、優秀な姉にぶちまけるエリ。

そして、姉はエリの出生の秘密を暴露する。

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そして、姉とエリの絆は深まるのであった。


次の話は、魔女の才能をもった男子高校生の増田が主人公。
幼少期は魔女の才能があると知り、ヒーローになることを夢見ていた増田だが
あることをきっかけにヒーローになることも、魔女になることも嫌になる。

そんな増田は高校の廊下で占いをしている魔女部の河野と知り合う。
魔女部へと必死に勧誘する河野ではあるが、頑なに首を縦に振らない増田。

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しかし、魔女部へのとある依頼が、2人を引き合わせていく。

お互いに魔女としての力は中途半端なのだが
2人の力が重なることで――。


絵柄が美しく、表情も豊かでキャラクターが活き活きと動いている。
1巻のラストに大魔女様の花火ショーというものがあるのだが
そこでの花火や魔法陣の書き込みが半端ない、そして美しい。

魔女として楽しんでいるもの、魔女として悩んでいるもの。
様々な魔女の在り方があり、それぞれにストーリーがある。
心が温まる話や、儚い恋の話など、心が揺さぶられる話の数々。
これからどのような話が繰り広げられるのか、非常に楽しみです。


大魔女様の花火ショーがあまりにも綺麗で、久々に花火を見たくなった。
今年の8月は夏コミ初日から10日間の連休が予定されており
その連休中に花火を見に行ってもいいかもな、などと思ったりした。

などと思ったりはしたのだが、ほとんどの花火大会が7月下旬~8月上旬だった。
魔女の才能はありませんが、こういったタイミングの悪さに関してには長けている気がします。


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[エロ] こんいろ あずまゆき著 全1巻

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こちらは新装版になります。
私があずまゆき先生の作品に触れ始めた当初に購入した漫画。
今から8年ほど前、私がロリコンであるということをハッキリと自覚し
また自他共に認められるようになった頃である。

名門私立 白鳳学園に通う双子の姉妹、新宮 奈々雄(しんぐう ななお)と奈々子(ななこ)。
彼女たちは自分たちのホームページにHな画像を載せて楽しんでいた。

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